信託の登録-著作権を登録する意味(6)-

著作権の信託の登録

信託とは、自分(委託者)の財産権を信頼できる人(受託者)に移転し、一定の目的に従って、受託者がある人(受益者)のためにその財産権を管理・処分するという制度です。信託は、通常、信託契約によって行われます。

信託がなされると、著作権が受託者に移転することとなります。著作権が、別々の受託者二人に移転された場合、どちらが著作権を有するのか(受託者となるのか)争いが生じます。しかし、著作権の信託の登録があれば、登録名義人が著作権者(受託者)として法律上取り扱われることになります。 
著作権の信託の登録には、こうしたトラブルを回避し、「取引の安全」を確保するという効果があります。


著作権を目的とした質権設定等の登録

質権は、著作権を担保とした著作権者が、債権者との間で質権設定契約を締結することにより発生します。登録は、著作権を目的とする質権の設定、移転、変更もしくは消滅または処分の制限の場合に行います。
著作権の譲渡の登録の場合と同様、第三者対抗要件を具備することを目的として登録を行います。


出版権の設定等の登録関係

出版権の設定、移転等、または出版権を目的とする質権の設定等があった場合に、出版権の登録をする制度です。出版権の登録申請を行うにあたっては、出版権設定契約を締結する必要があります。
出版権設定契約とは、出版社などが著作者との間で取り決めるもので、書籍など(図書・図画)を出版するための複製権の独占的利用許諾のことです。出版社などに出版権が設定された場合、著作者自身も出版行為を行うことはできません。
インターネット送信による電子出版を行う場合にも、出版権を設定することができます。著作権の譲渡の登録の場合と同様、第三者対抗要件を具備することを目的として登録を行います。


著作隣接権の移転等の登録関係

著作隣接権の譲渡や質権の設定があった場合に登録をする制度です。
著作隣接権とは、実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者に認められる権利のことです。例えば、実演家には、自分の実演を録音・録画する権利(録音権・録画権)、インターネットのホームページなどを用いて公衆からの求めに応じて自動的に送信できるようにする権利(送信可能化権)などがあります。

著作権の譲渡の登録の場合と同様、第三者対抗要件を具備することを目的として登録を行います。詳細については、別途お問い合わせください。

*それぞれの登録の「申請できる者」については、要件が定められている場合があります。詳細は、お問合せください。