著作隣接権の概要

1.著作者に準じた権利

著作権法には、著作権の他に著作隣接権が定められています。著作隣接権とは、著作者ではないが著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者に、著作者に準じた権利を与える制度です。

2.コンテンツ産業の基盤

著作物およびその権利者の保護を目的とする国際条約であるベルヌ条約には、著作隣接権についての定めはありません。著作隣接権制度は、ローマ条約をベースにしています。日本は1989年に加入しました。レコード保護条約については1978年に加入しています。また、2002年にはWIPO実演・レコード条約に加入しています。
著作権法の目的は、「文化の発展」であって、「文化産業の発展」ではありません。とはいえ、著作隣接権制度があることで、著作権法はコンテンツ産業にとっての基盤法であると言えます。

3.著作隣接権の種類

(1)実演家の権利

著作権法では、楽器の演奏者、俳優、ダンサーなどのことを「実演家」といいます。他にも、歌手、声優、落語や漫才の演者などを例として挙げることができます。また、「実演を指揮し、又は演出する者」、すなわちオーケストラの指揮者や舞台の演出家なども「実演家」ということになります。

実演家の権利は、以下のように分けられます。

・実演家人格権

氏名表示権実演の提供に際し、氏名もしくは芸名等を表示するのか、または自演家の名前を表示しないのかを決定できる権利。
同一性保持権実演の同一性を保持する権利。実演家の名誉または声望を害する実演の変更、切除その他の改変を受けない権利。

・実演家の財産権

録音権・録画権実演を録音・録画してもよいかどうかを決定する権利。この権利には、録音・録画した固定物(DVD等)をコピーすることも含まれる。
放送権・有線放送権実演を放送・有線放送してよいかどうかを決定する権利(自らの実演を無断で放送・有線放送されない権利)。
送信可能化権実演を送信可能化する権利(自らの実演を無断でインターネットにアップされない権利)。
譲渡権実演の録音物・録画物の譲渡により公衆に提供する権利(自らの実演が収録されたCDやDVDを無断で販売等されない権利)。
貸与権CD等の発売から一定期間は、レンタル事業者等は当該CD等を貸与できるかどうかは、実演家の決定による。
市販の目的で製作されたCD等の複製物が対象となる。
二次使用料請求権放送事業者・有線放送事業者が、CD等を用いた放送・有線放送を行ったときは、実演家に二次使用料を支払う義務を負う(*)。
報酬請求権CD等が発売された日から起算して12ヶ月が経過すると、貸与権は働かない。代わって、レンタル事業者等に対する報酬請求権が働く(*)。

* 二次使用料請求権/報酬請求権の行使:文化庁長官の指定を受けたものが行使できる。公益社団法人日本芸能実演家団体協議会が指定され、実演家著作隣接権センターを設けている。

(2)レコード製作者の権利

著作権法は、1970年に制定された法律です。そのため「レコード」という用語が今でも使われています。今では、CDといった方が通りがよいかもしれません。また、最近は音楽配信サービス等を利用して音楽を聴く方がほとんどと思われますが、その音源にはレコード製作者の権利が働きます。レコード製作者とは「音を最初に固定した者」であり、そのレコード製作者に与えられる権利は以下に示す通りです。

複製権「レコード」を複製する権利(収録した楽曲などの音源を無断でコピーされない権利)。
送信可能化権「レコード」を送信可能化する権利(楽曲などの音源を無断でインターネットにアップされない権利)。
譲渡権「レコード」の複製物の譲渡により公衆に提供する権利(楽曲などの音源を無断でコピーして販売等されない権利)。
貸与権CD等の発売から一定期間は、レンタル事業者等は当該CD等を貸与できるかどうかは、レコード製作者の決定による。市販の目的で製作されたCD等の複製物が対象となる。
二次使用料請求権放送事業者・有線放送事業者が、CD等を用いた放送・有線放送を行ったときは、レコード製作者に二次使用料を支払う義務を負う(*)。
報酬請求権CD等が発売された日から起算して12ヶ月が経過すると、貸与権は働かない。代わって、レンタル事業者等に対する報酬請求権が働く(*)。

* 二次使用料請求権/報酬請求権の行使:文化庁長官の指定を受けたものが行使できる。一般社団法人日本レコード協会が指定されている。

(3)放送事業者および有線放送事業者の権利

放送事業者および有線放送事業者は、著作物の伝達媒体として重要な役割を果たしているとして、その放送が保護の対象となります。

複製権放送および有線放送を録音・録画または写真その他の方法により複製する権利(番組を無断で複製されない権利)。
再放送権・有線放送権放送および有線放送を受信して再放送したり、有線放送したり再有線放送する権利。
送信可能化権放送を送信可能化する権利(番組を無断でインターネットにアップされない権利)。
テレビジョン放送の伝達権テレビジョン放送を受信して影像を拡大する特別の装置(大型プロジェクターなど)で、公に伝達する権利。