「未登録著作物の裁定制度」が始まる前に考えたい、著作権管理の基本

2026年度から、「未登録著作物の裁定制度」が新たに導入される予定です。

この制度は、著作権者が不明、または連絡が取れない場合に限り、文化庁の裁定を経て、第三者がその著作物を適法に利用できるようにするものです。インターネット上で日々大量の著作物が流通する現代において、一定の実務的意義が期待される一方で、制度が対象とするのはあくまで「権利者の所在が不明確な場合」に限られます。

裏を返せば、権利者としての情報がきちんと整っている著作物は、この制度の対象となるリスクを避けやすいということでもあります。


「勝手に使われる」ことを防ぐために

制度の施行を契機に、自身の著作物が意図せず制度の対象とみなされないための備えを考えることは、創作者にとって有意義です。以下のような手段によって、権利者としての意思表示をしておくことができます。

◉ 著作権登録

文化庁の登録制度を利用することで、著作物の公表日や著作者名、権利譲渡の有無などを公的に明示できます。登録された情報は誰でも確認可能であり、「この著作物の権利者が誰か」を明確に示す手段となります。

◉ 契約書・権利関係の文書化

出版社や配信事業者との契約、共同制作に関する取り決めなどを文書で整理しておくことは、後日の紛争防止に役立ちます。また、「どの範囲でどのように使用が許されているか」が明文化されていることで、第三者に誤解を与えることも防げます。

◉ 権利情報の外部発信

自身のウェブサイトやSNSなどで、「作品に関する権利は自分が保有している」旨を記載し、連絡先を明示しておくことも有効です。これにより、「連絡不能な著作権者」と誤認される可能性を減らすことができます。


「備え」が創作活動の自由を守る

著作物の権利は、特別な申請をしなくても創作と同時に発生します。しかし、それだけでは、外部の第三者から見て「誰がその権利を持っているのか」が分かりづらくなることがあります。

新たに導入される制度は、こうした不透明さを背景にしたものです。制度が始まる前の今だからこそ、自分の著作物について最低限の権利整理を行っておくことが、将来的なトラブルを避けるための第一歩になります。


行政書士としてお手伝いできること

行政書士は、著作権に関する登録手続き、契約書の作成支援、権利関係の文書整理などを通じて、創作活動の「裏側」を支えることができます。制度ができたことを一つの契機として、作品の法的な側面にも目を向けていただければと思います。

もし、具体的な制度の利用可能性や著作権管理について気になる点がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

著作物を守るための準備は、特別なことではありません。
少しだけ法務の視点を取り入れることで、創作活動に専念できる環境を整えることができます。