生成AIと著作権の現在地──クリエイターに求められる新しい視点

■ AIによる創作が広がるなかで

画像や文章、音楽に至るまで、さまざまなジャンルで生成AIを活用したコンテンツ制作が日常化しつつあります。実際の業務や創作活動に取り入れている方も少なくないでしょう。

一方で、「AIで作った作品の著作権は誰にあるのか?」「AIで作ったものを販売してよいのか?」といった基本的な疑問から、「納品物にAIを使っていいのか?」「契約ではどう扱えばいいのか?」という実務的な課題まで、多くの方が不安や戸惑いを抱いています。


■ 著作権法の立場:創作性と人の関与

現在の日本の著作権法では、「人の創作的な表現」にのみ著作権が発生するとされています。そのため、AIが自動的に生成したものは、原則として著作物とは認められません。

しかし、AIが出力した結果に対して人が選別・加工・構成などの創作的な作業を加えた場合には、その部分について著作権が発生する可能性があります。

著作物か否かの判断は一律ではなく、「人がどのように関与したか」が重要なポイントとなります。


■ 実務でよく出る論点

以下は、現場でしばしば相談されるようになってきた具体的なトピックです:

  • 納品物にAI生成素材を使った場合の説明義務
  • 他人の作品に酷似したAI生成物を用いた場合のリスク
  • 制作委託契約での著作権の帰属・利用範囲の明確化
  • 生成AIツールの利用規約に基づく制限の理解

こうした論点は、契約書の文言ひとつで対応できることもありますが、事後的に問題が顕在化することも少なくありません。


■ 法制度の整理と今後の方向性

政府も、AIと著作権の交錯について一定の整理を進めています。2024年3月に発表された知的財産戦略本部の資料では、次のような方向性が示されました:

  • AIによる生成物の権利処理を、契約やガイドラインで対応することが基本
  • 生成物の利用や納品に際しては、契約での明確化が重要
  • 開発・利用側における透明性や説明責任の確保

現時点では、法律の大幅な改正には至っていませんが、社会的・商業的な要請に応じた契約実務のアップデートが必要となっています。


■ 契約・制作フローの見直しを

制作や販売、業務委託などでAIを使う場合には、次のような点に留意することが望まれます:

  • 契約書に、AI利用の有無・帰属・利用許諾範囲を明記
  • プロンプトや生成工程などを記録に残しておく
  • 使用する生成AIツールの利用規約を確認
  • 顧客やパートナーへの説明・確認体制の整備

行政書士としては、こうした実務の整理や文書の整備を通じて、安心して創作や業務を行えるよう支援していく立場にあります。


■ ご相談について

生成AIを利用した制作活動に関して、契約書の整備、権利関係の整理、リスク管理のアドバイスなど、必要に応じてご相談をお受けしています。

まずはスポット的な書類点検や、初回面談からでも対応可能です。お気軽にお問い合わせください。