戦時加算-著作権の保護期間(9)-

「戦時加算」

「外国の著作物の場合、保護期間が延びることがある」と聞いたのですが、どういうことですか?

→「連合国及び連合国民の著作権の特例に関する法律」(戦時加算特例法)という法律があります。これは、サンフランシスコ平和条約の規定に基づく法律で、太平洋戦争開戦の1941年12月8日からサンフランシスコ平和条約の批准日の前日までを「戦争期間」とし、その実日数を旧連合国の国民の著作権が保護されるべき期間として「通常の保護期間」に加算するというものです。通称「戦時加算」と呼ばれています。
代表的な例を挙げると、アメリカ、イギリス、フランス、カナダ、オーストラリアの国籍の人の著作物の保護期間には、最大で3794日が加算されます。もちろん、サンフランシスコ平和条約の批准日以降に創作された著作物には適用されません。それ以前に創作された著作物に適用されるものです。実務上、「著作権を取得した日」を特定することは難しい場合がほとんどで、その取扱いには注意が必要です。

これまで「著作権の保護期間(1)~(9)」までに見てきたように、一口に「保護期間」と言っても、実務では様々な場面に遭遇します。判断に迷った場合にはご相談ください。